旅客機の内装品・機器製造の2D CAD環境を刷新
3D機能を生かしたさらなる業務改善も推進
株式会社ジャムコ様 導入事例
株式会社ジャムコ(以下、ジャムコ)は、製品設計業務に使用する2D CADに図研アルファテックが提供する「BricsCAD」を導入した。
これまで使用していた製品と比較して高機能、かつ操作性に優れるほか、ライセンス費用を削減できることが選定の理由だという。
これまで使用していた製品と比較して高機能、かつ操作性に優れるほか、ライセンス費用を削減できることが選定の理由だという。
導入製品 | BricsCAD Platinum, Communicator |
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導入前の課題 |
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導入後の効果 |
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1980年代からCADを運用してきたジャムコ
1955年、伊藤忠航空整備株式会社として設立されたジャムコ。元々は航空機の整備・改造事業を展開していたが、1970年に航空機内装品製造事業へと参入してからは、同事業がビジネスの主力となる。中でも旅客機のラバトリー(化粧室)とギャレー(厨房設備)は世界トップクラスのシェアを誇っている。また、2014年には航空機シート事業へ本格参入を果たすほか、創業以来の航空機整備事業、炭素繊維構造部材やジェットエンジン部品を製造する航空機器製造事業を展開しており、“航空機に特化した総合メーカー”として発展し続けている。
そんなジャムコの設計環境では、1980年代に2D CADソフトウェアを導入し、ドラフターを利用していた作図をCADに移行。さらに1998年からは3D CADソフトウェアを導入して2D CADと併用するようになる。
「3D CADを導入した際に『10年後を目処に2D CADを全廃する』という計画を立てていましたが、実際には過去の2D図面に少し手を加えるだけで完成する図面も多かったことから、費用対効果と業務生産性を考慮して2D CADを残すことにしました」と同社の航空機内装品・機器事業本部 技術本部 技術業務計画グループ 次長の桜井浩氏は振り返る。
フローティングライセンスによってライセンス数の見直しとコスト削減
こうして2D/3D CADを併存させることに決めたジャムコだったが、設計用端末を更新してからは業務に支障を来すようになったという。
「3D CAD用の端末をすべてWindows 7 64bitマシンへ移行したものの、当時の2D CADソフトは64bitに未対応だったため、専用の端末を別に用意する必要がありました。両方使用する設計者は用途によってマシンを移動するという非効率な作業を強いられていたのです。この課題を解決するために、2D CAD専用端末を廃止することを決定しましたが、64bit対応にするにはライセンスを購入し直さなければなりませんでした」(桜井氏)当時、ジャムコが保有していた2D CADソフトのライセンス数は60本。これをすべて更新するには高額な導入コストが発生する。そこで既存の製品に代わる新しい製品の導入を検討することにしたという。複数の2D CAD製品を候補に挙げ、比較検討した結果、ジャムコが選定したのが図研アルファテックが提供する「BricsCAD」だった。
「BricsCADを選定したのは、単に製品価格が安価なだけでなく、フローティングライセンスに対応したためです。 同時に使用する本数分のライセンスを購入しておけば、すべての設計用端末にBricsCADをインストールしておくことが可能です。これにより、既存ソフトの60ライセンスを、BricsCADでは40ライセンスへ減らすことができました」と技術業務計画グループ 係長の角田勲氏は説明する。カスタマイズを含めサポート対応に安心感
実はジャムコでは、一部の用途にBricsCADを利用していた実績があった。
「当社では、3D CADでワイヤーハーネス(電気配線部品)のモデリングを行う際、2D配線図からFromTo情報を取得する目的で図研アルファテックの電気CAD『ACAD-DENKI』を利用していました。当初は『AutoCAD』をベースにACAD-DENKIをアドオンする形で導入したのですが、その後BricsCADベースへと切り替えたという経緯があります」(角田氏)カスタマイズが容易である点もBricsCADのポイントの1つだ。導入時の図研アルファテックのサポートについて、技術業務計画グループの赤在由衣氏は次のように説明する。
「移行にあたり、それまでの2D CADソフトで運用していた各種カスタマイズプログラムをBricsCAD用に作り直すという開発も図研アルファテックにご対応いただけました。切り替え直後は戸惑いの声も上がっていましたが、現在は操作性の良さから習得もしやすく、『もっと早く切り替えてくれれば良かったのに』といった声も上がっています」コスト削減と管理面で効果。3D機能も生かした活用も視野に
こうしてジャムコでは2013年度からBricsCADに切り替え、現在はフローティングライセンス40本に加え、使用する端末を固定したノードロックライセンスも10本導入した。BricsCADにより導入と運用保守にかかるコストが約半分程度になったと実感している。端末に依存しないライセンス形態により、ライセンス管理が行いやすくなったこともメリットだ。
また、さまざまなファイル形式を読み込む「BricsCAD Communicator」でハイエンド3D CADのデータを読み込み、BricsCADで図面化するなど、業務やソフトウェア配備の最適化を図っている。BricsCADの3D機能を活用して、組み立て指示書を作成するような使い方など、2Dと3Dを意識することなく業務改善を図ることができるようになったことは大きい。
今後、ジャムコではBricsCADの3D CAD機能を活用し、生産技術のデータ作成ツールや簡易モデル作成ツールなどへも用途を広げていき、さらに海外拠点でも既存の2D CADのBricsCADへの移行を進める予定だという。こうしたさまざまな機能を生かし、ジャムコでのさらなる設計・製造の効率化を実現できることを期待したい。
ジャムコ様 概要
会社名 | 株式会社ジャムコ |
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設立 | 1955年 |
資本金 | 53.6億円 |
従業員数 | 3,481名(単体:1,367名) |
事業内容 | 「航空機内装品製造事業」「航空機シート製造事業」「航空機器製 造事業」「航空機整備事業」の4つの事業を展開。特に航空機内装 品事業では、ラバトリー(化粧室)、ギャレー(厨房設備)の製造で世界ナンバーワンのシェアを誇っている。 |
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※ご担当者様の所属部署、インタビュー記事内容などは取材当時のものです。
(2019年7月掲載)