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形状認識機能に優れたBricsCADをCAMバッチ処理に活用
板金加工機向けCAMデータ出力の省力化を実現

村田機械株式会社様 導入事例

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導入製品 BricsCAD
導入前の課題 ● 板金加工機を提供するメーカーとして、ユーザーの作業負担を軽減したい
● CAD設計データから加工データへの変換で、人的作業が介在してしまう
● 最終的に設計データから加工データまで完全自動処理を可能にしたい
導入後の効果 ● アドインとして開発し、BricsCADの機能を生かすことで省力化を実現
● BricsCADの板金設計機能や形状認識機能により、他CADソフトからのデータにも対応
● より高度な自動バッチ処理システムの開発、検証も進行中
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村田機械では、ユーザーの利便性を高めるために、自社の板金加工機向けにCAD/CAMソフトを提供しています。2020年からは、その関連機能をBricsCADのアドインとして提供し、BricsCADの機能を生かすことで大幅な省力化を可能にしました。現在ではさらなる開発を進め、幅広いデータの自動化を提案しています。
村田機械は、1935年に繊維機械の製造を開始し、現在では5事業部6分野に拡大し、お客様のものづくりやビジネスを支える幅広い機械とソリューションを提供している産業機械メーカーです。
同社は、2020年に新たにBricsCADのアドインをリリースし、BricsCAD Mechanicalの板金設計機能や形状認識機能などを生かすことで、加工機ユーザーの省力化を実現しました。現在ではこれをさらに発展させた新たなソリューションの開発に取り組んでおり、CAD設計データからの加工データ生成、さらに加工機へのデータ送信まで全自動バッチ処理で行えるシステムを、自社工場で検証しています。

高機能CADソフトの機能を最大限に生かして加工データ作成の省力化を目指す

村田機械株式会社 工作機械事業部 板金システム部 プロポーザルグループ 係長 中世古 雅史 氏 村田機械株式会社 工作機械事業部 板金システム部 プロポーザルグループ 係長 中世古 雅史 氏
村田機械株式会社 工作機械事業部 板金システム部 板金制御開発 上席主任部員 橋本 竜樹 氏 村田機械株式会社 工作機械事業部 板金システム部 板金制御開発 上席主任部員 橋本 竜樹 氏

近年では、業界全体で省人化・自動化の機運が高まっており、複数の機械を組み合わせていた加工を1台で実現できるようにした複合加工機や、自動搬送システムとの連携などのニーズも高まっています。
その一方で、自動化された加工機を使うには、ETL処理(抽出・変換・書き出し)が施された加工データを用意する必要がありますが、単純に変換すればよいというわけにもいきません。
「設計された形状を板金で実現するためには、素材からの切り出しや穴開け、曲げなどの工程を組み合わせて加工しなければなりません。その判断には、加工技術を熟知したスタッフによる判断や操作が必要となり、生産性改善の障壁になっていました。この課題に対して当社では、加工機メーカーとして培ってきたノウハウを注ぎ込んで、ソフトウェアの開発を進めてきました」(村田機械 プロポーザルグループ 係長 中世古 雅史氏)
これまでも村田機械では、ブランク工程(素材からの切り出しや穴開けなど)に対応する「CAMPATH G4 Advanced」、曲げ工程に対応する「CAMPATH Bend Ark」などのソフトを自社の板金加工機向けに提供し、設計データの受領から加工までの段取りの省力化や時間短縮を実現しています。板金工程において3Dデータをより効率的に活用する為、村田機械が独自開発したオープンなファイルフォーマット「SCPX」を用いており、SCPX形式の出力に対応する各社CADソフトを用いることで、作業効率を改善することができます。
そして、さらなる省力化に向けて着目したのが、CADソフトです。近年の市販CADソフトには、省力化や自動化に役立つ多彩な機能が充実してきており、それを生かすことで加工データ生成の自動処理が期待できます。
「以前は、市販のCADソフトに自社で独自開発した機能を付加して、板金設計ツールを提供していました。しかし近年では、市販のCADソフトも板金設計に対応した機能が充実してきています。当社は工作機械メーカーですから、加工機の性能を最大限に発揮させる加工データの生成こそが重要であると考え、そこに注力するとともに、板金設計については市販CADの機能を活用する方針に切り替えました」(村田機械 板金制御開発 上席主任部員 橋本 竜樹氏)

オープンに繋がり可能性を広げる

アドイン開発環境との親和性や機能面の優位性を評価しBricsCADを採用

CAD機能を生かすという方針のもと、製品選定を進めた村田機械が選んだのは「BricsCAD」です。選定した理由について橋本氏は、次のように説明しています。
「想定ユーザーは設計者でなく、設計者がさまざまなCADソフトでモデリングした設計データを受け取って、板金加工の工程へ展開していく製造現場の人たちです。その点において、ノンヒストリCADであるBricsCADは、どのようなフィーチャーでモデリングされたかを意識せず統一的に扱うことができますし、BricsCAD Communicatorはさまざまな機械系CADソフトのデータ読み込みに便利です。BricsCAD Mechanicalは、3D CADのソリッド形状として設計されたモデルからの板金形状の認識が良好であることや、アドインの開発環境が親しみやすい点、開発したアドインの配布にロイヤリティが不要であることなどがポイントとなりました。また、バーリングやルーバ、エンボス等の形状をブロック化してシンボルマークとして登録しておくことにより、これらの加工に関しても加工データ生成の自動化が図れると考えたのです
」(橋本氏)
BricsCADのアドイン開発は2018年から2019年にかけて行われ、社内での試験運用を経て完成度を高めた後、2020年4月にリリースを果たしました。

加工機での操作工程の削減や自動認識機能による業務効率化を実現

社内での運用では、BricsCAD Mechanicalの機能である、パラメトリックブロック化([PARAMETRICBLOCKIFY]コマンド)も大いに役立っています。本機能はブロック化する際にパラメータが自動付与されるため、データ調整の自動化がより容易に行えるようになります。最終的に出力されるSCPXデータも、その後の処理でエラーが生じにくい内容となり、CAMPATH G4 AdvancedやCAMPATH Bend Arkでの操作工程を省くことができます。さらに村田機械では、ソフトウェア以外の部分でもノウハウを生かして工夫を施しました。
「当社では、加工データの生成を円滑に行うために自動認識機能が適切に機能するよう設計ルールを策定し、必要なテンプレートなども用意しています。こうしたルールによって設計側の負荷は増えますが、製造側の負荷が減ってトータルの業務効率が改善し、短納期化にも寄与するといったメリットを説明することで、設計側と製造側の両方に受け入れてもらいました」(橋本氏)

 

オープンに繋がり真価を引き出す

完全自動処理を最終目標にさらなる開発と検証を推進中

こうして村田機械では、設計データから板金加工までの一連の作業を、ほとんど自動化することができただけでなく、リードタイムの大幅短縮も実現させました。現在では、完全自動化ソリューションとしての確立を目指し、24時間稼働の自社工場内で検証しつつ改良を続けている段階です。
「外販する際の名称は未定ですが、社内では『統括バッチシステム』と呼んでおり、当社の犬山事業所での板金加工機製造に活用しています。当社の板金加工機は、お客様に寄り添うべくカスタマイズ生産に応じているため、多品種少量生産です。しかも部品形状は複雑化が進む傾向にあり、加工データ生成の作業時間や業務負担は相当なものになってしまいます。全自動化することで、そのような状況の中で短納期を実現することができると言えるでしょう。社内検証で培ったノウハウを集約し、SCPXを使用した完全自動化により、短納期を実現し、顧客満足度を向上させることを目指しています」(中世古氏)

 

村田機械様 概要

会社名 村田機械株式会社
設立 1935年
資本金 9億円
従業員数 グループ 8,704名
単体 4,172名
(2024年4月)
事業内容 ロジスティクスシステム ・ FAシステム ・ クリーンFA ・ 工作機械 ・シートメタル加工機 ・ 繊維機械 ・ 情報機器 などの製造販売
村田機械様の公式ホームページはこちら
ムラテック板金ソリューションサイト
ムラテック板金加工機動画チャンネル(YouTube)はこちら

※ご担当者様の所属部署、インタビュー記事内容などは取材当時のものです。
(2024年10月掲載)

 

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